理科好きを育てる

中学受験の理科では、暗記力、算数の力、そして論理的に考える力が問われます。算数が得意で推論問題が好きなら、あとは暗記だけなので、長男の場合、4科目中、最も負担の軽い科目でした。

「理科は楽だった、うまくいった」と思い込んでいたのですが、実は思わぬところに落とし穴がありました。大学進学にあたり、理系というところまではすぐに決まったのに、やりたい学科がない、と言うのです。

もともとは、生物好きで、小さい頃はいろいろな生き物を飼い、あちこちに生き物探しにでかけました。当然そういう方面に進むのではないかと思っていたのですが、ミクロの世界は嫌いだそうで、生物系は選択肢から外れてしました。では工学系、となる訳ですが、数学が得意だけども、おもしろそうだと思える学科がないと言うのです。

結局、長男は、「なるほど」と思える学科を自分で見つけて進学していきましたが、この時思ったのは、「この科目が得意だ」というだけで安心してはいけないということです。大事なのは、「これをやりたい、もっと知りたい」という気持ち。これがないと、いくら得意でも続かないのです。

子どもたちを見ていると、興味関心の根っこは小学生低学年くらいまでに現れます。でも周りが気づくようになるのは、高校生とか大学生の場合もあります。

次男の場合、長男と反対に生物に全く関心がない。でも、「どうして物は落ちるの?」的な、原理原則的な質問が多かったので、実験教室に入れました。本当は親が一緒にいろいろ実験できればいいのだけれども、それだけの能力がないので、試行錯誤をたっぷりさせ、自由に意見を言い合うことができる雰囲気の教室にお世話になっています。

塾に行っても、実際に実験ができる訳ではありません。少しできたとしても、短時間で結論を覚える方向にいきがち。こうかな、ああかな、と考えて、実験してみて、違ったからまた少し変えて実験してみて、と飽きずに繰り返す力が理系では必要だと思うので、入塾前の時間があるうちに、そうした経験を積んでおくのは大事だと思います。

もちろん、知識も大事なので、博物館に行ったり、NHK番組や科学系の雑誌、漫画などを大量に読んでおくのも、関心を引き出すのに非常に有効です。この意味でも、読書好きであることが大事です。