お稽古事を何もしないという選択

お稽古ごとを何もしていないというお子さんはいらっしゃいますか?お稽古事を何もしたことがないというお子さんはとても珍しい時代になりました。幼稚園時代、平日すべてお稽古ごとで埋まっているお子さんも多かった。これは、一人っ子が増えた今、毎日数時間、幼児の相手をする位なら誰かに預けたいという親の都合を反映している面もありますが、多くは、子供の成長を考えてお稽古ごとをさせていると思います。

実は、長男はお稽古ごとをしていません。中学受験と大学受験、始めてのお稽古ごとは小学校4年生。学童をやめてしまったので、その代わりとして、英語とピアノの家庭教師を頼んだのです。でも、中学受験が始まりましたので1〜2年でやめてしまったので、あまり身についたとは言えませんでした。

どうして何もしていなかったかと言えば、共働きで親に余裕がなかった、子供も行きたがらなかった、というだけの理由です。できれば、何かを身につけさせてあげたかったという思いがあるので、次男にはいろいろやらせてみているのです。

けれども、長男が大人になった今、稽古事を何もしないという選択にもメリットがあったのではないか、と最近感じています。

それは一言で言えば、自分に合った道を、自分の考えで、選択することができる、ということです。

例えば、サッカーを一生懸命させた場合、実はその子は卓球の方が向いていたとしても、何年もやってきたサッカーをやめて卓球を始めるのは勇気がいることです。もったいないと思ってサッカーを続けてしまうかもしれません。

長男は、何も得意なことがなかったので、すべて白紙で選択することができました。小さい頃は、何にも手を伸ばさない子、学校の先生からすると、何にも関心を示さない、やる気のない子だったかもしれません。けれども、そのお陰で余計なエネルギーを使わないですんだ。高校2年生の時に、突然、非常にマイナーな芸術関係のことをやり始め、文化祭で大成功、クラブまで設立してしまった、ということがあります。これまで99の刺激があっても反応しなかったのに、この最後の1の刺激には猛烈に反応した。あれもこれもやっていて、忙しかったら、最後の1の刺激に反応して、チャンスをつかむことはできなかったでしょう。

大学でも同様のことがあって、何のスポーツもしていなかったので、非常にマイナーなスポーツを選んだ。これも感覚的に選んだと思いますが、本人に合っていたようで、日本代表選手に選ばれています。スポーツが得意な家系ではありませんので、本人がうまく選択したとしか良いようがありません。

幼少の頃にトレーニングした方がいいこともありますが、何もしないことで、子供の可能性が広がる場合もある、だから、今何もやりたがたないお子さんがいたら高校2年生まで待っていてあげてほしいと思います。