お稽古ごと ピアノ 大人も子供も

 こどものお稽古ごとと言えばピアノ。私も以前習っていて、子供にも習わせている。ここまでは良くあるパターンかと思いますが、実は私、昨年から自分でもピアノを始めました。そこから見えてきたというか、考えるようになったことを書きたいと思います。

 

その前に、大してピアノが好きそうでもない子供にわざわざピアノを習わせるのは、どうしてか。世間で言われている「ピアノを習わせるメリット」は大体以下のような感じでしょうか。

 

1.指先を使うので、脳の発達によい。

2.楽譜を読むのが難しいので、脳の発達に良い。特に算数、数学。

3.他の楽器に比べれば、とっつきやすく、小さい子供でも演奏することができる。音感の発達は幼少期と言われているから、音楽の基礎を身につけるのによい。

4.耳が良くなることで、語学の学習も得意になる。

5.練習は少し大変だが、集中力や忍耐力がつく。

6.音楽に触れることで、情操教育となる。(繊細な感覚や美意識が育まれる)。

7.他にも習っている仲間が多いので、やる気が続きやすい(かな?)。

 

 さて、大人になって再開した自分自身を振り返ってみると、ピアノを好きになることができた場合は、他にもたくさんメリットがあるように思います。

 

1.まずひとつ目は、月並ですが、健全なストレス解消方法であるということ。ギャンブルやショッピング、ネットゲームにはまってしまうくらいなら、音楽にはまった方が良い。スポーツとか音楽など、人生を壊す可能性がない趣味を持つことは、世の荒波を渡っていく上で必要だと思います。

 

2.ピアノは、譜読みから暗譜、その他いろいろ、頭を使うことが多いので、老化防止になるのは確実です。ピアニストは80歳台になっても活躍していたりして、基本的に元気で長寿なのではないでしょうか。

 

3.そして、これは余り知られていないと思うのですが、ピアノは身体全体をとても激しく使います。指だけで弾いているのではないのです。姿勢も大事だし、体全体の柔軟性も重要です。私も、ピアノのためにストレッチ、柔軟体操、筋トレっぽいことを始めました。基本的には体幹が大事だと思いますが、ピアノを上達しようと思えば体の健康に対する意識全般を高めることができます。

 

4.これは最近知ったことですが、楽譜というのは作曲家が書いた手紙で、それを朗読するのが演奏。書き手の気持ちを理解するためには、音符だけではなく、時代背景、当時の政治状況、人生、友人関係などすべてを考えることがプラスになります。作曲家が伝えたかったことが何なのかを考えることを通して、人生というもの、それを取り巻く社会というものをより深く理解しようという気持ちが生まれると思います。

 

5.ところで、あなたは本当に自分がしたいことをしているだろうか。私の場合は、、おそらく、していないです。それに気づいたのもピアノだったかもしれません。本当に自分が弾きたいように弾いているのか(もちろん、作曲家の意思の範囲内でないといけないでしょうけど)、他人の前でもそれを恥ずかしがることなく表現できているのか。非難されること、失敗することを恐れて、無理をしていないだろうか。

 自分の演奏方法を振り返ることで、生き方をも振り返ることができるように思います。

 そして、一番パフォーマンスが良く幸福感が高まるのは、すべてから自由である時。演奏することで、自分が自由であると感じられるのであれば、それがピアノを演奏する最大のメリットかもしれません。

 

 さて、ここまで書いてきて、最後に残る疑問は、「いろいろメリットのあるピアノだけど、それなら、泣き叫ぶ子供に無理やり練習させて方がいいのかな」という点ですね。私の意見ではもちろんNoだけれども、子供が強制されていると感じない程度に環境を整えたり働きかけることは必須だと、私は思います。自分から自然と音楽に向かうお子さんは、おそらくごく少数。私自身も好きではあったけれどもある程度、親からの働きかけはあったようです。